Promist Vapor(プロミスト ベイパー) x YellowKiss(イエローキス)のVAPEアトマイザー、Femto BF RDA「フェムト」のレビューです。
YellowKissとPromistVaporのコラボレーションでBF専用のRDAが登場です。このFemto好きな人にはたまらないアトマイザーです。
このアトマイザーの特徴
- ボトムエアフローのスコンカー専用RDA
この製品を表すワードはこの一つで十分だと思います。これだけで「欲しい!」と思われるボトムエアフロー信者の皆さま、お待たせしまた!という製品ですね。
マスプロアトマが毎月毎月沢山リリースされていますが、RDAに関してはほぼサイドエアフロー。
ボトムエアフローはハイエンド製品にしかなく、その中でもかなり数が少ないので、このFemtoも注目の製品です。
それでは詳細をレビューしていきます。
商品提供:ベプログshop
詳細
YellowKissとPromistVaporが作り上げたのがFemto BF RDAです。
このコンビといえばPico RTAに始まり、最近ではPeta Tankなどで有名です。
Femtoは数の単位(Picoの下の単位)ですね。PicoもPetaも同じくで、シリーズとして共通性を感じます。
質感の高い仕上がりです。
中国製のマスプロダクツも日進月歩でクオリティーアップしているとはいえ、一つ一つ丁寧に仕上げを行なっている製品とは比べ物になりません。
単なる実用品ではなく、嗜好品。手に入れただけで所有欲を満たしてくれる製品ですね。
その分お値段はマスプロの数倍するわけですが、その部分にお金をかけられる人向けの製品とも言えます。
しかし、このFemtoは仕上がりやルックスが良いだけではなく、見ただけで「これはおいしそう!」と思わせてくれる構造も魅力です。
このデッキを見ればお分かりいただけると思います。
そう、ボトムエアフローなのです。
RTAでは一般的な構造ですが、RDA製品ではこの構造を採用しているアトマイザーは余りありません。もっとも真新しい構造ではなく、古くから様々な機種に採用されている構造でもあります。
それでは何故普及しないのか?それは構造的に問題があるからではなく、手間のかかる構造であ流とともにパーツの精度が高くないと成立しない構造だからです。
デッキ直下からコイルに目がけてエアーを供給するボトムエアフロー構造ですが、その空気取り込み口はストレートに下からは取り入れられません。何故なら真下にはポジティブピンがあるからです。
そのため、デッキ側面から取り込むのですが、側面からの空気の道を直角に曲げなくてはなりませんのでその分のパーツが増え、そのスペースを確保する必要もあります。また、この空気の通り道を確保しながら電気的なこと(ポジティブとネガティブを分離する)も考えなくてはならず、パーツの設計が難しくなり、その分の精度も要求されます。
RTAであればタンクスペースがあるのでスペースを確保することは簡単ですが、RDAでは見た目も重要なのであまり高さを出すことができません。
このような理由から特にマスプロ製品にはあまり採用されない構造ですが、構造にこだわり精度を追求するハイエンド製品には昔から採用さえている構造で、Nectar RDAやImmo+、ACHILLES II RDAなどに採用されています。
これらの名前を挙げただけで味に定評のある構造ということがお分りいただけるのではないでしょうか。
そしてFemtoのポイントがもう一つあります。それはBF専用アトマイザーだということ。
ボトムエアフローのRDAは、デッキ中央にエアフローホールがあるというデザイン上、ポジティピンからリキッドを供給する構造に対応することが難しいため、一部の機種を除き採用されることがなかった構造ですが、Femtoは専用に設計されたアトマイザーです。
ただし、ノーマルピンは付属しないので完全にスコンカー専用のRDAとなっているので購入の際には注意が必要です。
スペック
直径 | 22mm |
高さ | 28mm(スレッド含まず) |
重量 | 37.0g(実測) |
ネジタイプ | 510 |
ドリップチップ | 510DT |
コイル | RBA シングルコイル |
エアフロー | ボトムエアフロー |
素材 | ステンレス(SUS304)、PEEK |
BF対応 | ◎ BF専用 スコンクピンのみ |
パッケージ・内容品
パッケージはPico RTA v1のものと同じガムボトルのようなものです。側面にはオーセンティック(本物)コードが印刷されていて、所定のサイトにアクセスして入力すると、そのコードが本物であるかどうか閲覧できる仕組みです。
キャップの封を破って中身を取り出します。全てのパーツがチャック式ビニールに保護されて入っています。
内容品一覧
- Femto BF RDA アトマイザー本体
- MTL Plug(内径1.5mm)
- スペアパーツ(Oリング、予備ワイヤー固定用ネジ)
- Black PEEKドリップチップ(内径3mm)
内容品は本体とドリップチップ、そして予備パーツに、デッキエアホールのプラグです。
デザイン
仕上がりはかなり綺麗です。
ヘアラインを活かしたブラシ仕上げのボディに。エアフローリングのみポリッシュされた質感に違いを楽しむことができます。
この美しさは大量生産品では実現できない丁寧な仕事によるもので、ユーザーがこだわれる物作りをしていることを実感させてくれます。
分解
それでは各パーツの詳細を見ていきます。
その前に本体を軽く分解して構造を見ておきます。分解するとこの通り。
- ドリップチップ
- トップキャップ
- デッキ
RDAなのでパーツ総数は少なく、クリーニングする時も簡単です。デッキはさらに細かいパーツに分解可能です。
ドリップチップ
では、まずは上部のドリップチップから見ていきます。
トップキャップのドリップチップ取り付け部は510規格です。付属品以外の汎用510ドリップチップに交換して使うこともできます。しかし、取り付け部分が直径12mmしかなく、トップキャップ形状も個性的なのでルックスがマッチするドリップチップを見つけるのは難しいかもしれません。
付属品はこのトップキャップによく似合うショートタイプのものが付属します。
このドリップチップ取り付け部分ですが、かなりタイトです。付属ドリチでも、汎用品でもおおむね硬い。すっぽ抜けないようになっていると思うんですが、もう少し緩くても良かったかな。取り付けるのも外すのも大変です。
黒い樹脂製のドリップチップはよくあるデルリン製ではなく、アトマイザーのインシュレーターにも使われるより耐熱性に優れたPEEK樹脂を使用しています。
かなり短いので加え心地はお世辞にも良いとは言えません。これはルックスを重視した結果でしょう。
内径はトップキャップ側が6mm。内部がテーパーで徐々に狭まるデザインで、エンドは3mmです。
全長10mm、露出部の高さ5.25mm、外径10.6mm、内径6→3mm(テーパー)
トップキャップ
次にトップキャップです。
エアフローホールはデッキ部分にあるので、トップキャップはチャンバーとしてのみ機能します。
AFC兼用ではないので、スクリュー式(ねじ込みタイプ)が採用。デッキとしっかり接続するので不意に取れてしまう心配もありません。スレッドの精度や仕上がりが良いのでスルスルと回るのが心地よく感じます。
スコンク専用なので、普通のRDAのようにリキッドチャージで頻繁に外したりつけたりする必要がないので、スクリュー式は合理的です。
デッキのAFCは、トップキャップを完全に締め込んでも調整できます。
トップキャップ裏はドーム形状です。トップキャップの高さが低いですね。
コイルからドリップチップまでがかなり近く感じます。そのため、あまり熱量の大きなコイルには対応できそうにありません。Promistがアナウンスしている通り、タイトDL〜MTLまでのRDAという印象です。
エアフロー
エアフローホールはデッキ側面にあります。穴は1つのみです。
幅5.5mm x 縦2mmのサイクロプスエアホール。シングルホールだからでしょう。
このエアフローホールには、ドロー調整用のエアフローコントロールリング(AFC)を装備しています。
丁寧にポリッシュされたパーツと、ボディーとの質感の違いを楽しめます。
ドローは全開から全閉まで無段階で調整できます。
AFCはトップキャップを外せば、単体のパーツとして取り外せます。
完全に洗浄したい時はここまで分解可能です。
AFCを外すと、ボディーにはシリアルナンバーが刻まれています。
デッキ
見ただけでいかにも味の出そうなデッキデザイン。中央にデッキのボトムエアフローホールが配置された伝統的なデザインです。
2ポスト2スレッドのシングルコイル専用デッキです。黒い樹脂部分がジュースウェルの底なので、のリキッドの保持量は極小です。BF専用にデザインされているので保持量は必要ないという設計思想からのものかと思います。
左右の2つのホールからリキッドが出て、ウィックに直接ジュースを供給します。
のリキッドを保持する部分がないので、スコンクしたリキッドは必要最低限コットンに供給され、それ以上のリキッドはボトルに戻る仕組みです。ボトムエアフローの出口が小高くなっていますが、ボトルを強く押して供給しすぎると、エアホールから漏れてしまうので注意が必要です。
femtoはデッキが分厚いので、ウェルの下に小さなタンクがあるのかと勘違いしていましたが、そのようなことはありません。
スレッドにはプラスネジが採用されています。エアホールの大きさは直径3mmです。
ジュースウェルの底はPEEK樹脂製ですが、エアホールの出口にはステンレス素材が使われています。これはコイルを近づけた時の対策です。PEEKは耐熱性に優れた樹脂ですが、コイルのそばに使うには役不足です。あまりコイルを近づけなければ問題ありませんが、ボトムエアフローのセオリーとしてできるだけエアホールの出口に近づけた方が味が出ることもあり、普通は近づけて使うことを想定したディティールです。
過去にレビューしたES-Zが同じようにボトムエアフローで、エアホール周りがPEEK材なのですが、僕は近づけすぎて一部を溶かしてしまった経験があるので、Femtoのディティールの方が実用的だと思います。
MTLのタイトドローに合わせて、エアホールを小さくするためのMTL Plug(内径1.5mm)が付属します。
MTLで運用する場合は、このプラグを付けて使うのが良いでしょう。
ポジティブピン
BFピンのみが付属します。穴の空いていないノーマルピンは付属しません。
Femtoの裏にはyellow kissのロゴと模様がエングレービングされています。
ピンの出っ張り具合は実測0.67mm。
ピンはデッキのポジティブポスト固定兼用。緩めて調整できません。
ポジティブ側のパーツは、PEEKインシュレーターに挟まれた設計です。今までにないデザイン。
エアホールはサイドから取り込まれ、インシュレーターの中を抜けていくデザインです。
スコンクされたリキッドは、ポストの中を通ってウェルの底から供給される構造です。よく考えれらています。
ビルド
それではビルドです。
まずはプロミストさんの推奨ビルドを紹介しておきます。
- セミDL Ni70 25G , 3.0mm , 6巻(0.55~0.6Ω)
- MTL カンタル27G , 2.5mm , 6巻(1.0Ω)
試しにドローを確認しても、重めのDLでもいけそうです。でもちょっと重いかな、という程度ですが、それ以上に心配なのがトップキャップが低いこと。コイル設置部分からドリップチップエンドまでの距離が極端に短いので熱が心配です。
モノは試しに、僕はいつもよくやるビルドでチャレンジしてみます。
カンタル24ゲージ , 3.0mm軸 , 6巻です。見た目的にゴツくて不釣り合いですが、これで問題が起きなければこれ以下の質量のビルドであれば許容すると思いますので実験です。
ワイヤーレッグはスクリューの周りに半周巻いてやって、デッキ内側でカットすると、余ったワイヤーがトップキャップと触れて短絡することがなくて良いと思います。
コイルの高さは、エアホールにリキッドが伝わって漏れない程度に近づけてやります。
コットンは左右に落とすだけです。コットンレッグを置いておくスペースがフラットなのでちょっとだけ掘られていればなお良かったですね。
ウィックでジュースが保持できるように少し長めにカットしてやり、折り曲げるようにしました。
このビルドの結果ですが、失敗です。正直エアーが足りませんし、連続パフするとトップキャップが熱くなってしまいます。Promistさんのアナウンスは的確だと思うので、まずはそのビルドからチャレンジするのが良いと思います。
ただ、これで実装されたのは連続パフしてもエアホール周りから熱が伝わってPEEKが溶けるようなことがないことです。安心して使えると思います。
MODに載せてみました
22mmサイズ&背の高さが抑えられたRDAはどんなMODにもマッチしますね。細かいブラシ仕上げの質感も良いので、マッチしないMODを探す方が難しいでしょう。
ブラックボディーのスコンクMODにはベストマッチです。ドリップチップのブラックとボディーカラーが見事です。
同じくブラックカラー。ペイントに質感に関わらず。カラーがマッチするので見た目が良いですね。
質感が違うメタルボディーにもこの通りです。
こんなハイエンドにももちろんマッチします。
感想
セミDL(タイトめのダイレクトラング)もいける触れ込みですが、僕はそうは感じませんでした。
ドローが僕の好みではないというのもありますが、DLでの使用を想定したビルドだと連続パフした時にトップキャップがチンチンに熱くなってしまうためです。エアーの流入量が不足しているので味のりもあまりよくありません。
Femtoが真価を発揮するのはMTLだと思います。
MTL Plugを装着した状態で、カンタルの細線でビルドしてやるだけで良い。
ボトムエアフローRDA独特のダイレクトな感覚のミストをおいしく味わえます。
ただ、残念な点もあります。それは味よりもルックス重視にデザインしてしまっていることです。
これは背をできるだけ低くしたいという見た目の要素から採用したものだと思われますが、トップキャップを緩めて使用した時の方がおいしいです。そしてトップキャップが熱も持ちにくいので実用的です。味は好みの差かもしれませんが、、、
また、トップキャップのデザインも専用ドリップチップ前提になってしまっていて、交換することを想定していないデザインに感じます。
付属ドリップチップは見た目はいいのですが、短すぎて正直好きになれません。そして、好みのドリチに変えると、ドリチが妙に浮いて見えたり、長すぎると感じてしまうんですよね。
また、スコンクの感覚には慣れが必要です。必要量以上ドバッと押し出してしまうと当然漏れます。ラフにスコンクできる機種ではありません。
それに笛なりまではいきませんが、吸気音はうるさいタイプです。「スゥーーー」という音が周りに響きます。
まとめ
細かい不満はあるのですが、数少ないボトムエアフローRDAの選択肢の一つとしては悪くないと思います。
20,000円弱する価格帯はは高いと思います。マスプロなら5,000円以下で買えますから。そしてそのマスプロも日進月歩でクオリティーがアップし、味に優れた製品も多々あります。
その中でこのFemtoを選ぶ理由は3つです。それは「味とクオリティ、そしてオリジナリティ」です。
それ相応のクオリティに仕上げるのには当然手間(コスト)がかかります。また数少ないボトムエアフロー構造のRDAという絶対的な価値観も付加された製品であり、ルックス的にも構造的にもオリジナリティを感じる製品だからです。
細かい不満は多々あるものの、ボトムエアフローRDAはおいしいの一点突破で推薦できるスコンク専用RDAです。
ボトムエアフロー至上主義かつ、MTLが大好きなあなたに向けた製品です。
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