Estoque Mods by ESのアトマイザー、ES-Zのレビューです。
正直な所、じっくりと構造を見て、これまでの経験から好みの味ではないと予想し、当初購入予定ではなかったのですが、「結局使ってみないとわからない!」と自分の気持と物欲を天秤にかけていた所、国内店舗でも販売が開始されたので勢いで購入してしまいました。
本人も買う気がなかったと言いながら、多分道連れが欲しかったんでしょう。
優しく背中を押してくれたRENさん。VAPERのつながりって怖いですね…
それでは早速レビューしていきます。
Estoque Mods ES-Zのパッケージと内容品
シンプルでコンパクト。ロゴの入ったパッケージ。蓋の裏側にはサインとシリアルナンバーが手書きされています。付属品は、
- ES-Zアトマイザー本体
- 専用ドリップチップ
- 予備パーツ(Oリング、ネジ)
Estoque Mods ES-Zの詳細
ES-Zは台湾のハイエンドMODメーカー、Estoque Modsがリリースするアトマイザーです。
ルックスはミドルハイトのRDAにしか見えませんが、デッキ下には小容量のタンクが設けられていて、RDTAとして使うことが出来ます。
そして、インシュレーターを外すことでデュアルコイルのRDAとしても使用することが出来る2way仕様になっています。
ES-Zのスペック
リキッド容量 | ??ml |
直径 | 22mm |
ネジタイプ | 510 |
ドリップチップ | 510/専用 |
コイル | RBA シングルコイル(RDTA) デュアルコイル(RDA) |
リキッドチャージ | デッキチャージ |
エアフロー | ボトムエアーフロー(RDTA) サイドエアーフロー(RDA) |
色 | SS , Black(ジルコニア) |
キャップは上部がポリッシュの鏡面仕上げ、ボディー部分がヘアライン仕上げになっていて、美しい仕上がりです。
反面、写真を撮るのが難しく、写真では伝わりにくい部分でもあります。
今回購入したのはステンレスキャップVer.ですが、希少性が高く、高品質なジルコニア製も用意されています。
僕がステンレス製をセレクトしたのは、値段の差が結構あるのに対し、構造が同一なこと。
素材が異なると、放熱性が違うなどの部分で味に違いが出る可能性はありますが、基本的には同じ味になると思います。
僕の考え方的に、ルックスや希少性、所有欲よりも、優先すべきは”味とコスト”ですから、当然のセレクトだといえます。
510アダプターを付けた状態の全長は、510スレッドを除いて約25.6mmでした
大まかに分解するとこのようなパーツ構成です。デッキ/トップキャップ。
エアフローコントロールはキャップを回すことで可能です。デッキの2つのホールを、キャップのホールで塞ぐ構造。
キャップのエアホール周りの模様ですが、ジルコニア製キャップには入っていません。
個人的にはこの模様はいらないな…と思ってしまいます。
ワイドボアドリップチップ(内径約6mm)のものと、510ドリップチップ用アダプターです。
ワイドボアですが、510規格のドリップチップでも実現可能な内径であり、個人的にはもう少し内径の大きいものを付属させて欲しかったと思いました。
最近マスプロ品にも多く採用されているドーム状のキャップ構造ですが、この構造の場合、ミストがシルキーで細かくなるというのが僕が様々なアトマイザーを使ってみて感じることです。
味の趣向は様々ななので、一概にこの構造が優れているとは思いませんが、シルキーなミストを好む趣向の場合には優れた内部構造であると思います。
チャンバー部には十分な体積、そして高さがあります。
M attyでも採用されていたラウンドヘッドですが、ショートが起こりにくいデザインになっています。
デッキのポジティブ側と直結しているスクリューですが、デッキは圧入されていて、固定には使われていないため調整可能だとも言えなくはないですが、個人的にネジが緩んでいる状態での使用は推奨できません。
デッキは2ポールデッキ。
全面が黒いPEEKインシュレーターで覆われています。
中央がエアホールで、4つの穴が空いており、リキッドの伝い漏れを防ぐように一段高くなっています。形状的にNectar Microを彷彿とさせるデッキデザインです。
写真上下のホールがウィックホール、左上のホールがリキッドチャージホールです。
そして、右下に小さく開いたホールはエア抜きの穴で、リキッドチャージの時にエアーが抜けることで、リキッドチャージがしやすくなっています。
スクリューにはスペーサー付きです。
これはおそらくコイル高さの調整の意味合いが強いと思います。
PEEK素材にコイルが近いと耐熱性に優れた素材であっても樹脂ですので溶けてしまいます。
それを防止するようにスペーサーが付属します。
ただし、このスペーサー、予備は付属しません。
小さく無くしやすいパーツですので取り扱いには注意しましょう。
PEEK素材ですが外すことで2ポールのRDAとしても使用できます。
ジュースウェルは深く、使い勝手は良さそうですが、RDTAとしての使い方をメインに設計している印象で、コットンレッグを収めておくスペースがありません。これはRDTAとしてのリキッド容量を優先させているからでしょう。
そして、RDTA時にはキャップとデッキのエアホールで調整可能だったエアフロー調整ですが、RDA時にはキャップから直接デッキにエアーが供給されるため、ドロー調整をすることが出来ません。
デッキにはドリル跡などが残っていないように見える丁寧な仕上がりで、見えない部分の丁寧さも所有欲を満たしてくれます。
Estoque Mods ES-Zをビルドしてみる
RDAにもなるES-Zですが、構造から見てメインの用途としてはRDTAとして使うのが通常の使い方だと思います。
ビルドの前に空吸いしてドローを確認。全開でNectarよりも大分軽い印象のドローの為、コイルを冷却するためのエアーを多く導く事ができるため、より高い熱量のコイルの設置が可能と判断しました。
ファーストビルド RDTAとしてシングルビルドしてみる
熱量を確保するのにセレクトしたワイヤーはカンタル24ゲージ。試しに2.5mm 5ラップで巻いています。
僕の場合、コイルの抵抗値を見当をつけるよりも、0.3ohmを下回らない程度で後は感覚でまいでいます。
まず最初にコイルを組んでみました。何も考えずに上記写真の通りビルドしてみると、PEEKインシュレーターとコイルの間隔があまり空いていないことに気が付きました。
コイルの足はスペーサーの下を通っています。
できるだけエアホールに近づけたいが、あまり近づけすぎるとインシュレーターを溶かしてしまいそうなので、コイルレッグを上向きに組むことしました。
組み直したのがこの写真。コイルレッグを上向きにしています。
ただし、コイルを使い回ししたため、巻き方向が同じなので、ネジの閉め方向との関係で足が逃げやすいため、通常は逆巻きに巻くほうが良いと思います。
横から見てみます。これ以上下にコイルを下げてしまうと熱害でインシュレータが溶けてしまいそうなので程々に下げてみました。
ビルド後に思ったのですが、コイルを組んでからコイル位置を調整すれば良いだけなので、スペーサーの上側、スペーサーとネジ頭の間にワイヤーレッグを挟んでやれば、コイルレッグの向きはあまり関係ないと思います。
コイルレッグを落としすぎてしまうと、RDTAとして小さい容量のタンクしか持たない上に更に容量を小さくしてしまうのでそこまで入れていませんが、供給は問題無い印象です。
セカンドビルド RDDTAシングルコイル
カンタル26ゲージでも巻いてみました。このビルドのほうが一般的かもしれません。
ただし、自分の好み的には、ワイヤーのラップ数はおおむね5-6ラップでマイクロコイルのほうが好みの味が出るためあまり好みではない印象でした。
RDA デュアルコイルでも組んでみる
構造上エアフロー調整が効かないRDAとしての使い方ですが、空吸いしてみた所、逆にもう少し軽くてもいいな、という印象のドローだったため、デュアルでも試しに組んでみます。
ワイヤーはカンタル26ゲージ、2.5mmで5ラップです。
ビルドの際、コイル固定の時は2本コイル内径と同じコイルジグなどを用意し、指で抑えながらスクリュで固定すると、コイルの形が崩れずにやりやすいと思います。
VAPERさんの多くはエアフローに近づける味を好むようで、Blogなどでもそのようなビルドを良く見ますが、僕の好みの味は異なります。
エアフローに近づけると、ミストが細かく、シルキーになる印象ですが、僕はよりダイレクトな味が好みです。
その為、コイルは中央に寄せて、コイル位置を高めでビルドしています。
あくまで味は好みであり、ビルドに正解はない。というのが僕の持論です。
もちろん、好みの味の方向で優劣はあると思います。ただし、それは絶対的、そして相対的なものではなく、自分の中での物差しに過ぎません。
自分の好みの味を探っていくのもVAPE、そしてRBAの楽しみだといえるでしょう。
Estoque Mods ES-Zを使ってみた
◎RDTA シングルビルドについて
この使い方がメインのアトマイザーだと思います。
構造から味の予想をしていましたが、期待を裏切らない味が出ます。
ボトムエアーフローのダイレクトで濃厚な味わいながら、ミストはキャップ構造とチャンバー部の容量により、シルキーで柔らかなミストです。
ドローも想像通りで、全開だとDLでもいける軽さのドロー。そして精度が良いので、調整しただけ絞れるのも好印象です。
良くも悪くも想像通り。想像を超えることはありませんでした。
シングルコイルにしてはそれなりに濃厚で、単線でもこれだけ味が出れば優秀です。
ただし、タンクにリキッドチャージをして持ち運ぶ場合、倒したり逆さまにすると構造上漏れはふせぐことができません。
使い勝手的にはあまり良いとは言えないと思います。
◎RDA デュアルビルドについて
こちらを期待してこのアトマイザーを購入する人は少数だと思います。
しかし、個人的な好みで言えば、シングルより好みの味に近づづけることができました。
僕のビルドだと、ハイト高めのサイドフロー構造のアトマイザーであれば似たような味を再現できるのですが、このアトマイザーでも同様でした。
ただし、キャップ構造がドーム状なので、ダイレクトさよりもシルキーさがスポイルされた味に感じます。
ただ、個人的にもこの使い方をメインに使うことは想定していませんでしたし、この味であれば趣向的にYURIの方が美味しいと感じるのでこの使い方はしないと思います。
RDA/RDTA共に、ドリップチップ部が周囲ごと取外し可能なので、キャップごと外して確認するよりも、MODにリキッドが付着したり、キャップ取付時にエアフローの位置を再確認する手間がなく非常に楽です。
最近リリースされるハイエンド、ハイプライスアトマイザーはこのような構造が増えているのも納得できます。
Estoque Mods ES-Zのまとめ
そして、高さも程々でMODとのマッチングも良い印象です。
味的にはシングルコイルの程々のミスト量とドローが好きで、尚且つボトムフローのダイレクトで濃厚な味ながら、シルキー系のミストが好きな人にはたまらないアトマイザーでしょう。
ただし、味に関して言えば、近いレベルの味が出るマスプロ機も存在します。
価格と味のバランスを考えれば優れているとは言えませんが、コストがかかっているのは細かいところまで拘って作られているから。所有欲を満たしてくれるアトマイザーが欲しいニーズは満たしてくれるでしょう。
そして、入手は現在困難です。
国内店舗で発売されるなり即完売になった注目アトマイザーです。
何度も繰り返し再入荷する保証はないので、欲しい人は各種情報をチェックして再入荷に備えましょう。
コメント