BoomStick Engineering「ブームスティック エンジニアリング」のVAPEアトマイザー、Reaper MTL RDA 18mm「リーパー エムティーエル」のレビューです。
18mmサイズのアトマイザーは、ハイエンド製品(少量生産の高額な製品)も含め、選択肢が極端に少ないので、新製品を注目していたユーザーも多いのではないでしょうか。
このアトマイザーの特徴
- 18mmという貴重な小径サイズのドリッピングアトマイザー
- MTLと言う割にはデュアルコイルでもビルドできる高い対応力
詳細をレビューしていきます。
商品提供:ベプログshop
詳細
BoomStick Engineeringというイタリアデザインのドリッパーです。
18mmって今まで何があったのか考えたんですが、マスプロではBERSERKER MTL RDAぐらいで、ハイエンドは全くレビューしていませんでした。ハイエンドでもほんの僅かですね、14mmや16mmのほうが多くある印象です。
このReaper MTL RDA、各VAPEショップで使われている宣材写真が割とオーソドックスで、あまりかっこよく見えないのが残念なのですが、実際手にとって見ると、作りもよくてデザインも良いアトマイザーだと感じました。そのみりょくがすこしでもつたわればなー、と思い気合を入れて写真を撮ってみました。
アトマイザーサイズの主流は、今現在は24mmに移行していますが、それ以前は22mmサイズが一般的でした。そのため、多くのMODでは22mmと24mmサイズを考慮したデザインや大きさになっているため、それよりも小さなサイズのアトマイザーをマウントさせると不格好になってします。
そのため、大きさの差をデザイン的に埋めるためのビューティーリング(スラントリング)も同梱しています。このリングの外形は22mm。18-22mmリングとなり、22mmサイズを考慮したMODへもよくマッチします。
汎用のリングが色々なメーカーからリリースされていますが、本体デザインにマッチした専用のリングが最初から付属するのは、デザインのマッチングも良いし、後々の出費を抑えることが出来ます。ニッチなニーズの製品なので、単体で購入すると1000円以上するものもザラですからね。
スペック
直径 | 18mm |
高さ | 20.1mm(DT、スレッド含まず) |
重量 | 21.3g(実測) |
ネジタイプ | 510 |
ドリップチップ | 510DT |
コイル | RBA デュアルコイル/シングルコイル |
エアフロー | サイドエアフロー |
素材 | ステンレス |
BF対応 | ◎ BFピン付属 |
パッケージ・内容品
パッケージは黒いマットな質感の貼り箱に高級感のある銀色の箔押しでロゴが入ったもの。裏面には製品情報や同梱品などが記載されています。側面にはBatchナンバー入りステッカーがはられています。
贈答品のような高級感のある包装。まるで高級なチョコレートのようなパッケージングです。
内容品一覧
- BoomStick Engineering Reaper MTL RDA アトマイザー本体
- アクセサリーバッグ(予備パーツ、ノーマルピン、スラントリング、マイナスドライバー)
- マニュアル(日本語あり)
- クオリティーチェックカード
説明書には日本語の項目もありました。日本で販売されることも考慮されているようです。
外観
BoomStick Engineeringはイタリアのデザイナーにデザインされています。
しかし、生産国は異なっているようです。
最初ちょっと微妙だなぁと思ったんですが、実際にはイタリアの小径アトマイザーは、値段は高額なのに作りは雑(特にデッキの細かい部分などの表からは見えない部分)だったりするので、この値段でそれらより遥かに作りが綺麗なのは良いことなのかも。
もちろんめーかーによってですが、有名な14mmサイズのSPEEDや、NONAMEなども見える部分の作りはそれなりに仕上がっていますが、デッキの作りは雑というか、粗さが残る仕上がりなので、例えばこのReaper MTL RDA 18mmが中国製だったとしても、イタリア本国でつくられたものより綺麗に仕上がっているなと感じてしまいます。
螺旋状の彫り込みがこのアトマイザーの個性となっています。
分解
分解します。大きく分解すると4つのパーツに分けることが出来ます。
- ドリップチップ
- トップキャップ
- スリーブ
- デッキ
キャップは2ピース方式。アウターとインナーの組み合わせでエアフローを調整する方式です。デッキにエアホールがないタイプなのでエアフローホールの位置を自由に設定することが出来ます。
デッキパーツはさらに分解可能ですが、基本的な分解清掃ではここまで分解すれば十分です。工具なしても簡単に分解できるので洗浄などのメンテナンスも非常に楽ですね。
ドリップチップ
ドリップチップは510規格。もちろん汎用品に交換もできます。
トップキャップの取り付け部分の周りには5つの穴が空いているようなデザインになっていますが、これはイミテーションで、貫通しているわけではなく、デザイン的な要素で彫り込まれています。
素材は不明ですが、ウルテムのようなカラーの樹脂製ドリップチップは口元にかけて内径が広がるデザインを採用しています。本体と同じく、螺旋模様が彫り込まれています。
全長12mm、露出部の高さ7mm、外径12mm、内径4.5→8.5mm
トップキャップ
トップキャップは2ピース方式。インナーとアウターにそれぞれ同じサイズのエアホールが開いていて、ホールの合わせ具合を調整してドローを決めることが出来ます。
キャップとOリングの具合が適度。緩すぎることはないので不意に取れてしまうことも少なさそうです。抜けないように硬いほうが良いという人もいると思いますが、適度な硬さのほうがエアフロー調整もしやすく使い勝手が良いと感じます。
アウターにはエアホールが2つ。180度の位置に開いています。アウター側のトップはフラット。ここはチャンバーではないので、インナーが収まるようなデザインになっています。
インナーには3つのエアホール。この仕様によって2種類のビルドに対応しています。
- 両側開けることでデュアルコイルに対応
- 片側開けることでシングルコイルに対応
コイル上部の空間は外見に比べて矮小。インナー側の上部がトップになるためです。ドーム形状になっています。
デッキ
デッキはシンプルなデザイン。2ポスト2スレッド。デッキの作りもそれなりに綺麗です。
インナースリーブとと接続部はダブルOリング仕様。MODとの接続部にはツバのような出っ張りがあり、キャップを外した時に付着したリキッドが押し出されてMODにつきにくいよう考慮されています。
ポストの両サイドはワイヤーが逃げにくい加工がされていて、ビルドの難易度を下げています。
デュアルコイルで組むときや、細いワイヤーを使うときなどは、好みに応じてスクリューに付属のゴールドプレートを通して、クランプとして使うことも出来ます。
コイルをはさみやすくなるのですが、プレートは勝手に持ち上がることがない構造なので、使いが手や好みでつける、付けないを選ぶことが出来ます。
ジュースウェルは左右がつながったタイプ。デッキのサイズが矮小かつ、ウェルの深さも浅いので保持量は少ないです。
しかし、実際に使ってみると、MTL運用であれば20パフぐらいできたので通常使用でも十分実用の範囲内だと感じました。ドリップチップだけ外せばそのままリキッドをドリップできるので運用性も悪くありません。
ただし、ドリップする場合、エアホール位置が低い位置にあるので、オーバードリップに注意しましょう。
ポジティブピン
本体底面にはREAPER、Designed by BoomStickのレーザー刻印と、シリアルナンバーが入っています。
金メッキ加工されたポジティブピンの出っ張り具合は実測0.36mm。あまり出っ張ってないので、ハイブリット接続するには不十分な印象です。僕なら絶対に使いません。
スコンクピン(BFピン)も付属。ピンはデッキのポジティブポール固定兼用なので緩めて出っ張り具合を調整することは不可です。
スコンクピンのリキッド出口は、ジュースウェルの底から一段高いところから供給される方式で、スコンカーで使うときにもジュースウェルにリキッドを保持できる仕様です。
スコンクボトルを押しすぎると、オーバースコンクでリキッドがエアホールから溢れ出てしまうので、デッキサイズが小さいためより注意が必要です。
ビルド
名前を再確認しましょう。「Reaper MTL RDA」
MTLに特化したアトマイザーなのです。確かにそれにあわせてキャップのエアホールは小さいのですが、デッキはオーソドックスな2ポストデッキで、デュアルコイルでのビルドも可能です。
ただし、デュアルコイルでビルドするのであれば、細いゲージのワイヤーを使うか、エアホールを両側全開にしてDL運用するのが現実的。デッキサイズやチャンバー容量からもMTLユースではなくなってしまいます。
そのため、名前通りにMTL運用するのであればシングルビルドが必須になるかと思います。
しかもコイルは片側に寄せて、エアホールも片側だけ開くのがドローを絞れるので、MTLと名付けたのであればこのビルドがおいしく運用できなければ意味がありません。
カンタル27ゲージ、2.5mm、6巻
コイルの位置はエアホールより少しだけ上に、コイルボトムがエアホールから見えるぐらいの位置にセットしました。
導入した空気がコイルボトムを通って、ミストを巻き上げるように口に運ぶのをイメージした位置にセットしています。
もちろんエアホールに近づけても良いですし、もっとドローが軽いのが好みであれば、両側のエアホールを開く前提でコイルをセンターにセットするのも良いと思います。
ウィックをセットしました。ウィックレッグをおいておく場所が狭いので、全長の長いコイルを組むのには不向きなデッキだと感じました。
MODに載せてみました
可愛らしい18mmサイズ。22mmとたかが4mmしか変わりませんが、見た目には大きな差があります。一般的な大きさの24mmも22mmとくらべるとたかだか2mmで随分大きく感じるので、4mmも小さくなれば相当小さく感じるのがおわかりいただけるかと思います。
特に小さなサイズのMODによくマッチします。18-22mmのリングが最初から付属するのでマッチングを気にする必要もありません。
ただ、24mmを前提にデザインされたサイズのMODだと、やはりサイズがマッチしません。18-24mmのリングも付属するとより親切だったのですが、マッチさせたいときは適当なデザインのリングを用意する他ありません。
感想
作りやデザインはすごく良いと思います。
ヘアライン仕上げではないものの、細かいドリル痕がそれっぽいつくりで、ポリッシュとマットの中間ぐらいの仕上がりで、螺旋デザインがユニーク。ドリップチップ部分の飾り穴がリボルバーの薬莢を詰める部分のようにも感じる良デザインです。
イタリアデザインなのに本国生産じゃないのかよ!
とも思うんですが、実際にはイタリア製のアトマよりも綺麗に出来ていて、値段が安いのでよろしいと思います。
18mmサイズはほぼ高額アトマしか選択肢がない上に、今現在メジャーな製品が多く流通しているわけでもないので、マスプロが販売されること自体が単純に嬉しく思いますね。
デッキデザインからはMTLにめちゃくちゃ特化しているとは言い難い作りで、どちらかと言えばMTLからDLまで幅広く対応したアトマイザーになっています。
MTLアトマがはやっているからって、何でもMTLをつければいいってもんじゃないですよね。
18mmサイズと言うだけで、十分ユニークなので、それ以上に個性を無理に付ける必要はないと思います。幅広く対応していることも個性なのですから。
ただし、シングルエアホール運用でエアホールを閉じていけば、かなりタイトなドローまで絞れるので、もちろんタイトドローのMTLでも使うことは可能です。
しかし、エアホールを両側開くことでそこそこ軽めのDLまで行けてしまいますから、調整幅としては軽い方向へ高いということになります。デュアルコイルビルドは2ポストで2スレッドで面倒なのですが、矮小なチャンバーで炊いたほうがおいしいリキッドなどをおいしく味わうことが出来ます。
肝心の味ですが、ビルドとリキッド次第です。当たり前といえば当たり前ですが、今リリースされているアトマイザーってどんどん親切(自由度が低い)になっていて、コイル位置はここ!というわかりやすさが個性にもなっていると感じます。
しかし、このReaperは伝統的な作りで、どうとでもビルドできることから、自分好みのビルドを試行錯誤できる楽しみがあります。逆を言えば親切ではないので、「簡単に味を出したい」というニーズには向かないということです。
久々に小径アトマを使いましたが、小さいサイズのサイドエアホールのアトマイザー特有と感じる味を楽しむことが出来ます。
まとめ
イタリアデザインのグッドルッキングな小径ドリッパー。
まず見た目がいい。スモールサイズは様々なMODにマッチします。
そしてスタンダードな王道の作り。
マスプロの割に価格が若干高めなのですが、「同じ作りでイタリア生産だったら倍以上」と考えれば十分納得できる金額です。実際、イタリア製のアトマより綺麗にできていると思います。
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