Vape Systems(ベイプシステムズ)のVAPEアトマイザー、BY-KA V7「バイカ v7」のレビューです。
ベラルーシのハイエンドアトマイザー。知る人ぞ知る優れた製品です。
このアトマイザーの特徴
- 23mmサイズのシングルコイル DL特化の少量生産アトマイザー
- ジュースコントロールなどの機能性
- オプションパーツによるセッティング幅が充実
それでは早速レビューしていきます。
詳細
made in Belarus
VAPE SYSTEMSという聞きなれないメーカーのリブルタブル製品。
この製品の存在を知ったのは、とある事情から。限定条件に合う製品を紹介してもらったことがきっかけです。
その条件とは
- サイズは直径23mmまで
- 軽めのDLで美味しく吸えるRTA
というもの。今のVAPEデバイス市場のトレンド的にMTL向けRTAアトマイザーは数多くリリースされていますが、一時期活発だったDL向けのRTAに関してはリリースされてはいるものの、その多くが24mm以上というサイズになっています。
色々な製品を紹介されたものの中で、構造的に一番良さそうだったのがこの製品です。
理由はオプションパーツ。チムニーのバリエーションが多く、セッティングの幅が広いことが決め手になりました。
チムニーまでバリエーションが用意されているRTAってなかなか無いと思います。
スペック
リキッド容量 | Standard – Narrow Chimney 5.6ml Standard – Wide Chimney 4.6ml Short – Narrow Chimney 3.0ml Short- Wide Chimney 2.5ml |
直径 | 23mm |
全長 | Standard – 54.7mm(DT、スレッド含まず) Short – 45.7mm(DT、スレッド含まず) |
重量 | – g |
ネジタイプ | 510 |
ドリップチップ | 510DT |
コイル | RBA シングルコイル |
リキッドチャージ | トップフィル |
エアフロー | ボトエアーフロー |
素材 | ステンレススチール 304L |
メーカー公式サイト | https://vape-systems.ru/ |
パッケージ・内容品
パッケージはシンプルですが、少量生産のハイエンド製品としてはパッケージがある時点でちゃんとしてますね。中にはビニールでの梱包のみという製品も少なくありません。
中には仕切りが。クッション材で保護されてはいませんが、破損はありませんでした。
内容品一覧
- Vape Systems BY-KA V7 アトマイザー本体
- メタルタンク
- PCタンク
- PCドリップチップ
- エアフローパーツと工具
- 予備パーツ(ネジ、Oリング)
- 説明書
すごいと思ったのが説明書。スペックの項目でも一部を掲載しましたが、寸法や仕様が事細かに掲載されています。ここまで詳細が書いてあるマニュアルは多くの製品を目にしてきた僕でも初めてです。
VAPEを試行錯誤するにあたり、味に影響があるのはどの部分だ?と追求心が高い人にはスペックが公開されているのは非常にありがたいことだと思います。
ディティール
製品のつくりはすごく丁寧です。
金属の質感も良く、仕上げも美しい、スレッドを回した感覚も良い。
しかし、購入直後は細かな切削カスなどが残り、切削油なども付着したままなので、全バラ&
念入りな洗浄が必須です。
特にデッキの裏側にはグリスのような粘着性のある油脂がべったり付いていたので匂いも酷かったため、絶対に洗浄しなくては使い物になりません。
この辺りは中華オーセンの方が年々良くなっていて、むしろ値段の高いハイエンド製品の方が雑。少々残念です。
もちろん、製品クオリティに関しては、大量生産品に比べて工数をかけられる分だけ綺麗に仕上がっています。
分解
構造ごとに大まかに分解すると、デッキ/タンク/ドリップチップに分けられます。
ドリップチップ
ドリップチップ取り付け部分は510です。
ちなみに取り付け部分の金属パーツの直径が12mmなので、この直径より外径が大きなドリップチップははみ出してしまうので、外見のマッチング的に不恰好。事実上取り付けできないと言えるでしょう。
タンクの素材と同じポリカーボネイト製の半透明なドリップチップが付属します。
全長20.5mm、露出部の高さ15mm、外径9.5mm、内径 4.6mm
全長長すぎですね。見た目のバランスが悪いので、撮影後使わずにそっとしまいました。いや、スペック的に良いのかもしれないけど見た目が気に食わんのですよ。ロングタンクでもショートタンクでも、、、
タンク
タンクの構造が変わってます。全くもって斬新では無いのですが、構造的にはCloud One RTAに近く、今のRTAの標準的な構造とは若干異なります。
タンクは3つのパーツ(チャンバー&チムニー / チューブ / トップパーツ)から構成されており、接続はOリングです。
デッキ部分で固定されている構造です。
説明が難しいのですが、このような構造。
チャンバー&チムニーとチューブの間にリキッドを保持する構造は一般的なRTAと変わりませんが、タンクの上部の接続がOリングのみになっていて、完全に独立した構造では無いのが特徴です。
ただし、リキッドフィルはスタンダードにトップフィル。
リングのようなトップパーツを外してリキッドを装填します。ジュースコントロール付きなので、リキチャの時はジュースコントロールを全閉にすることをオススメします。
ジュースコントロールはチャンバー&チムニーパーツで行います。
そのため、このパーツのドリップチップ取り付け部は、側面が平らになっていて、指でつまんで回しやすくなっています。また、オーバル型のマーク付きで、何回転したかの目安になります。
このようにチャンバーを回転させると、デッキのジュースホールが露出する構造。
携帯時などにジュースホールを完全に閉じることができるので、ジュースコントロールを閉じれば供給が完全に止まるので漏れることがありません。
ジュースコントロールは一時期のタンクに良く採用されていた構造で、マスプロも追従して多くの製品がリリースされましたが、最近のタンクはあまり採用されなくなってしまいました。
特にマスプロだと、精度が悪くて「とりあえず付いている」に止まってしまい、供給が完全に止まらなかったりしたので使い勝手が悪いものが多かったように思います。
しかし、このBy-Ka v7のジュースコントロールは完璧ですね。完全にホールを塞ぐことができます。
また、ハイエンド製品でもジュースコントロールの操作がしにくいものもありますが、この製品はスレッドが軽く回るため非常に操作が楽。そして、全閉から写真右の全開まで5回転という目安もあるので、頻繁にジュースコントロールを操作しても煩わしくありません。
この、非常に重要です。
良い機能が付いていても、操作が面倒だったり、不安があっては使わなくなってしまいますからね。
ちなみにタンクは独立した構造ではなく、上部が不安定なOリング固定なので通常リキッドが残っているとデッキにアクセスはできませんが、、、
僕は気をつけて外せばデッキにアクセスできています。
方法としては
- まず最初にジュースコントロールを全開にする(できるだけ緩める)
- 逆さまにしてタンク接続部とジュースコントロールを同時に回してタンクを外す
- この時、Oリングが抜けてリキッドが漏れやすいので注意です(ドリップチップ部分からタンクを指で保持するように外すと良い感じです)
完全に成功するとは言えないので、どうしてもリウィックしたい時に限ります。そして、スタンダードタンクはタンク自体が重たいので失敗しやすく、ショートタンクの方が成功しやすいです。
僕は割と頻繁にリウィックするので、頻繁に抜いちゃっていますが、ほぼ失敗しません。慣れの問題だと思います。
ボトムエアフロー
デッキ下にはボトムエアフローのエアホール。6つ穴式。
AFCでドロー調整可能。ストッパー付きで全開以上は回らなくなります。ホールは片側のみで、対角線上にホールは設けられていません。
デッキ
デッキはスタンダードな2ポスト2スレッドデッキです。シングルコイル専用ですね。
デッキサイズは直径16.5mm。
ジュースチャンネルは左右に。ホール式。ジュースコントロール付き。ジュースホール小さめで、供給間に合うかな、と思ったんですが、全然問題ありませんでした。
深めのウイックレッグセット部分。エアホールまで高さがあるのでリキッドが漏れにくい構造です。
ポストにはワイヤーが逃げにくい加工。
センターにはボトムエアフローホール。
このパーツは交換式です。専用工具で脱着可能。
ちなみに付属するエアフローパーツは3サイズ(1.7mm / 2.3mm / 3.2mm)で、説明書を見るともうワンサイズ(1.4mm)用意されていますがそのパーツは標準では付属しません。
エアフローパーツ交換式のRTAは多くありますが、スレッドでかっちりとパーツを接続できるものは少なく貴重です。またこのパーツにより、エアホールの位置がかなり高くなることから、漏れ耐性が高い仕様です。
ポジティブピン
ポジティブピンは実測0.5mm出っ張っています。
デッキ裏にはBY-ka v.7の刻印。中途半端な23mmサイズなので、しっかりと23mmと刻まれているのも好感が持てます。またピンはダブルピン仕様。コンタクトピンにはシルバーメッキ加工されているとのこと。
若干だったら緩めて出っ張り具合を調整可能ですが、出っ張り具合を調整したいということはハイブリット接続のメカニカルで使いたいということだと思いますので、緩みによるピンの脱落は即事故につながるため最新の注意が必要です。僕は怖いので絶対緩めて使いません。
ボトムパーツは分解可能です。最初ここに切削油が詰まっていたので、初期洗浄時は念入りにクリーニングが必要です。デッキはさらに分解できそうですが、通常はここまでで十分でしょう。
オプションパーツ
このBy-Ka v7、オプションパーツがかなり充実しています。
タンクのサイズが複数用意されているのは、ハイエンドRTAには珍しいことではありませんが、素晴らしいと思ったのがチムニーのバリエーションが用意されていること。
タンクの長さを変えるということはチムニーもそれに応じて長くしなくてはなりませんが、長さだけではなくnarrowとwideの2つの内径サイズが用意されているのが特徴。
標準で付属するのはnarrow(4.5mm)ですがオプションとして内径8.5mmのwide chimneyも購入可能です。
チャンバートップはどちらもお椀のようなドーム上で変わりありませんが、それに続くチムニーの内径が異なります。
デッキサイズが16.5mmと小さく、チャンバースペースも狭いので、チムニーを太くするのは有効だな、と考えたのが、このBy-ka購入の決め手にもなったので、オプションパーツも購入しました。
また、チムニーの長さでも味は変わるのか、というのも疑問に思ったので2種類購入してみました。
本体は国内店舗で購入し、オプション品のみ本家サイトから購入しました。
ビルド
それではビルドです。
毎度おなじみのカンタル24ゲージ、3.0mm、5巻です。むしろこれで美味しく吸えないのであれば、このタンクはいらないとすら思っているのでとりあえず組んでみます。
チマ見にエアフローパーツは一番直径の大きな3.2mmをセレクト。
2.3mmも試しましたが、エアーの供給が追いつかずに熱を持ってしまうので、このビルドだと3.2mmしか選択肢がありません。
コイルはエアホール直上に。もうちょっと近づけても良さそうです。
写真のウィック量だと多すぎました。今はもっと半分程度に減らしています。
これぐらいじゃないと漏れそうだな、と思ったんですが、減らしていってもジュースチャンネル付近だけしっかりウィックを配置すればそうそう漏れません。漏れ耐性はめちゃくちゃ高いです。
後はタンクを取り付けてリキッドを注ぐだけ。チャージするときはジュースコントロールを全閉にするのをお忘れなく。全開でも漏れないかもしれませんが、ジュースコントロール付きRTAで開きっぱなしでリキチャすると何度もダダ漏れさせた経験があるので、その時のトラウマで絶対に締めてチャージしています。
感想
正直オプションパーツが到着するまでの1週間「あーこれじゃないわ、、、失敗したわ、、」と思っていたんですが、オプションパーツのロングタンク&ワイドチムニーを付けたら「もうこれしかない!」に変わりました。
それまではビルドの熱量を冷却しきれていなくて、味が飛んじゃっていたのだと思います。
そして、僕の予想では「チムニーは短い方がリキッドの味がダイレクトで、甘みを強く感じる」と思っていたのですが事前にアドバイスで「長くて太いのが最高にうまい」と教えてもらっていたので、念のため長いやつも買っておいて正解でした。
原理はわかりませんが、長いほうが断然おいしいです。
何故なのか?仮説になってしまいますが、長いチムニーでミストが冷却されて、味を鮮明に感じるのではないでしょうか。わからんですけどね、、、
RTAは味に満足できる(供給過多)だと漏れるし、漏れないようにすると味が薄いしと好みじゃないなぁ、と思って、使うのは供給がコントロールできるRDAばかりなのですが、やっと満足できるタンクに出会えた感じです。
運用も楽で、特にジュースコントロールが操作しやすいのが最高です。
そして、すんごいラフにウィッキングしても漏れないのも良い点。すごいおいしいけど、ウィックがシビアなRTAもあって、使っているうちにウィックがへたって、不吉な気泡が上がってくると「あぁ〜漏れる前兆だな」っていうのもよくあるので、漏れにくいのも一つのスペックだと思います。
レビュー執筆後にしばらく使わないことがあって、1ヶ月近くリキッド入れっぱなし&エアフロー全開で放置してしまったことがあるのですが、夏から秋にかけて気温差が大きい時期なのにジワ漏れも皆無。もちろんポジピンからの滲みもありませんでした。どれだけ漏れ耐性強いんだ、と言う感想。最強レベルに漏れません。
MTLならおいしい機材は沢山あるのですが、DLでおいしいくてサイズが23mmまでっていうとかなり少ないと思います。僕はMTLだと強メンソールリキッドしか吸わないので、正直PODデバイスでいいんですよね。まぁそれは人それぞれなので、好みに応じてデバイスをセレクトすればいいわけです。
僕にとってギリシャのアレはうっすいし、ドイツのアレも好みじゃないし、と人が良いと思う製品でも自分に合わないものは沢山あります。「二郎系ラーメン最高!」と思う人もいれば、「二郎はもう見た目だけで無理」という人もいるのと一緒。味の好みなんて千差万別です。
チムニーとエアフローパーツで調整幅が広いのも魅力。ただ、スペック的にMTLユースのアトマイザーではありません。デッキエアホールの最小直径が1.4mmですし、AFCのスペックも絞ることを想定されていません。
唯一の不満は「ガラスタンクがない」ということ。個人制作者でBy-Kaのウルテムタンクを作っている方はいるようなのですが、タンククラッシャーのリキッド愛好家としてはガラスタンクが一番安心できます。
今は金属タンクで運用しているのですが、ガラスタンクがあれば最強なのに、、、
まとめ
めちゃくちゃいいタンクです。
VAPEの機材って多くあるので「有名な製品」しかヒットしませんよね。
稀に無名な製品がヒットすることもありますが、日本ではまず輸入業者やショップが取り扱わないことには入手性が良くないことから、まずショップレベルで話題になった製品で、スタッフさんがいいと思ったものを発信して、それを敏感なユーザーが反応し、さらに多くのユーザーを巻き込んでブームになっていくイメージ。
つまり、「売れそうな知名度のある製品」の方がリスクが少ないので、当然それらの製品を優先的に仕入れるのは商売の常です。知名度のない製品が利益多ければリスク取るメリットもありますが、そんなわけでもないので。
ですが、それ以外にも多くの製品があり、無名な中にも優れた製品は多数あるんです。
このBy-Ka v7も非常に優れた製品だと思います。ただ、入手はちょっとハードルが高いかも。
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