KRMA RDA「カルマ」のレビューです。
カナダの MISSION XV「ミッション15」がリリースしたハイエンドアトマイザー。
2種類のトップキャップと、同じく2種類のドリップチップが付属する充実した付属品も魅力で、「ベストなRDAを作ろう」という意気込みのもと開発されたRDA。
詳細をレビューしていきます。
商品提供:ベプログshop
詳細
ちょっぴりお高い「ハイエンド製品」このKRMA RDA、付属品が充実しています。
デッキは1つですが、2つのトップキャップと、同じく2つのドリップチップが付属します。
トップキャップはSS(ステンレススチール)と、黒いデルリン樹脂製のもの。そしてドリップチップは黒いデルリン製のものと、黄色っぽ半透明のウルテム製のものが付属します。
トップキャップ、ドリップチップともに素材が異なるのみで、大きさ・形は同一のものなので色の好みや、マウントするMODとの相性などで選ぶことができるカスタム心をくすぐる付属品です。
また、ビルドによっては熱伝導率の高いステンレスキャップは熱を持ってしまうこともあるため、機能的に積極的にデルリントップキャップをセレクトするのも良さそうです。
パッケージ・内容品
まずはパッケージデザインから。ハイエンド製品の中にはハンドメイドに近い製品もあり、簡易的なパッケージを採用しているものもありますが、このKRMA RDAはシンプルながら小洒落たパッケージングも魅力です。
チャック式ビニールパッケージに収納されているので、このパッケージを切って開封します。
中にはクッション材に保護されて本体や付属品が収納されています。
内容品一覧
- KRMA RDA アトマイザー本体デッキ
- ステンレスキャップ
- ブラックデルリンキャップ
- デルリンドリップチップ
- ウルテムドリップチップ
- 予備パーツ一式(Oリング、イモネジ)、六角レンチ
- 登録カード
内容品はKRMA RDAアトマイザー本体デッキと、2種類のトップキャプ、2種類のドリップチップ。そして予備パーツ一式に、パッケージにもなっているカードが付属します。カードにはこのアトマイザーのスペックが書いてあるのと、MXOC facebookグループへの登録を促すURLが記載されており、このURLにアクセスするとRDA本体に記載のシリアルナンバーや個人情報を入力するフォームが表示されるので、入力してメンバー登録を申し込むことができます。
スペック
直径 | 22mm |
高さ | 20mm (DT,スレッド含まず) |
重量 | 27.7g(デルリンキャップ時19.4g) |
ネジタイプ | 510 |
ドリップチップ | 510DT |
コイル | RBA シングルコイル |
エアフロー | デュアルサイドエアフロー |
素材 | ステンレス , デルリン , ウルテム |
BF対応 | ○ BFピン装着済 BFピンの穴はイモネジで埋められます |
分解
細部を見る前に、まずは本体を軽く分解してみてみます。
写真のように3つの構造に分解可能で、左から ドリップチップ / トップキャップ / デッキ に分解可能です。デッキはさらに細かく分解することが可能。
ドリッピングアトマイザーなのでパーツ総数が少なく、分解洗浄が楽に行なえます。
ドリップチップ
上部のパーツから順番に見ていきます。まずはドリップチップから。
ドリップチップは2種類付属します。どちらも大きさ・見た目は同じもので、素材のみ異なります。トップキャップの取付部分は510規格なので、付属品以外の汎用品に交換することもできますが、
コスパに優れた商品と比べて見ると、一見違いがわかりづらいですが、ドリル跡が残らないポリッシュされた肌感に、「コスト」をかけた良質のモノづくりを感じます。
トップキャップを見てみると、ドリップチップ取付部が長さ2.5mmほど突起しているので、ドリップチップによっては見た目の相性が悪いかもしれません。特に取り付け部分の直径は12mmなので、取り付け部分の直径がこれ以上の大きさのものははみ出してしまいます。
付属のドリップチップはショートタイプで、内径は6mmストレート構造。510ドリップチップにして背景が太めで、「ドリップチップ」の名前通り、上からリキッドをポタポタと垂らし”ドリップ”するのに適したものです。
咥えてみると、トップキャップ上部がなだらかに傾斜していること。露出長さ5mmのショートタイプのドリップチップながら、トップキャップ突起部と含めると7.5mmほど露出しているので咥えやすく、唇へのあたりも柔らかい印象です。
全長10mm、露出部の高さ5mm、外径12mm、内径6mm
トップキャップ
次にトップキャップです。2種類の素材のトップキャップが付属しますが、どちらも同じデザインのもので、至ってシンプルな形状です。このトップキャップにはエアホールが設けられ、デッキのエアホールをトリミングして、ドロー調整を可能にしています。
全開から全閉まで無段階でドローを調整可能。もちろん全閉にすることもできますが、吸ってみるとトップキャップとデッキの間の隙間から空気を吸ってしまうため「タイトドローにはなりません」 MTLにしてもだいぶ軽めのドローであることから、このアトマイザーがDLユーズに向けた機材であることを理解できます。
サイドエアフロー構造ですが、このエアホールはトップキャップの高い位置にあり、でっきのエアホールは一段下がった場所から供給されるのを見て分かる通り、リークを意識した構造です。
ちなみにマスプロの一部製品に採用されている「周り留め」の凸凹は採用されていません。リキッドでOリングが湿ってしまうと、トップキャップをつまんで回しても空回りしてしまい、MODから外せないので、この場合はキャップを外し、デッキをつまんで外す必要があり、手が汚れてしまいます。
トップキャップ裏側は、ドーム形状とまではいかないなだらかにドリップチップに向かって傾斜した構造です。
ちなみに画像を重ねてチャンバー部の空間を見てみると、全高を抑えたサイズなのに、ポールの上に空間的な余裕があることがわかります。
デッキ
最後にデッキです。デッキは2年前ほどから流行っている構造。当ブログでは「デュアルサイドエアフロー」と読んでいるシングルコイル前提の2ポール2スレッドデッキです。
対角線に2つのポールを備えたデザイン。シングルコイルでビルドするのが前提のデッキで、エアフローも2箇所にあり、取り込んだ空気が干渉しあって、ドリップチップに向けて吹き抜ける構造です。
トップキャップの項目でも触れましたが、エアフローホールはトップキャップ取り込み口から一弾下がってデッキに取り込まれる方式で、これは主にリキッド漏れを考慮したデザインです。
エアフローは直線的にぶつかりあうのではなく、若干ずれているのが特徴。
デッキのエアフローホールは、ポールから突起して供給される構造。
イモネジがかなり大きく、太めのワイヤーでもクランプ可能。ただ、試しに28ゲージワイヤーでビルドしてみたところ、ワイヤーレッグが逃げて、イモネジとデッキの間で遊んでしまったので、エアフロー的にも細めのワイヤーでのビルドには適していません。
もし細線でビルドする場合は、イモネジの中央でしっかりクランプしてやる必要があります。
そして、コイルレッグを通す部分が、片方は円形、もう片方は切れ込みになっていて、ビルド時にまず片方を円形の方に突っ込んでやればワイヤーが逃げづらく、ビルドがしやすいようになっています。
ジュースウェルはかなり深く、多くのジュースを溜め込んでいきます。ウェル底の切削も綺麗で、ポジティブポール側だけ金属の肌感が異なります。
またコイルジグをマウントしておける溝が掘られているので、ビルド時の使い勝手にも考慮しています。
スコンクピンの出口がウェル底と同じ高さにあり、ボトムフィーダーでの使用時はウェルにジュースを貯めておけない構造。スコンクボトルから押し出したリキッドはウェルにを満たし、コットンに染み込みます。染み込みきれないリキッドはウェルからボトルに戻っていく構造です。
ポジティブピンはスコンクMOD対応
デッキ裏にはMISSION XVのロゴマーク、製品名などのエングレービングが入っています。
ポジティブピンはデッキ固定ネジ兼用なので、緩めて突起具合を調整することはできません。通常分解の必要がありませんが、分解する場合はインチサイズの六角レンチ(3/32)が必要です。
ちなみに他のポールを分解する場合にもインチヘキサゴン(1/16)が必要。
分解した場合、ポジティブポールにセットされているインシュレーターパーツが相当小さいのでなくさないよう注意します。
突起具合は0.5mm程度です。
スコンクピンが標準装備されていて、ノーマルポジティブピンが付属しませんが、デッキの裏ににセットされている小さなイモネジを付属の細い六角レンチを使って外し、これをスコンクピンのホールにつけることで穴を埋めて、ボトムフィーダー以外のMODでも使うことができます。
ちなみにこのイモネジは予備部品が付属しません!大変小さく無くしやすいため紛失に注意しましょう。
MODに載せる
ビルド
ビルドですが、KRMA RDAのスペックからDL前提のセッティングが良いと思います。単線であれば24ゲージ程度。エアフローを開ければクラプトンコイルなどでも大丈夫だと思います。
マイナスドライバーを別途用意して、デッキのイモネジを緩めておきます。
コイルは今回、スタンダードな素材であるカンタルを使用しました。
最初に輪っかになった固定部にコイルレッグを通してコイルが逃げないようにしてから、もう片方のオープンになった側に通すと簡単にビルドできます。この仕様はかなりビルドしやすい仕様です。
Kanthal 24ga , 3.0mm , 5raps
固定後、ジグを通してコイル位置を調整します。デッキにコイルジグを置くための溝が掘られていますが、筆者はコイルを高めにセットするので一切使用しませんでした。
コイル固定時にジグを通す場合は便利かもですが、あまり使わないかもしれません。
それがなくてもビルドが簡単だということ。この溝は細線向けのアトマイザーにこそ有効だと思います。
コイルの向きですが、エアフローに合わせて斜めにするなどしてみましたがあまり味には影響がありませんでした。そのような試行錯誤も楽しめるのがRBAですよね。
コイルは高めにセット。コイルの巻き方向ですが、逆巻きでも全く問題ない印象です。その場合ワイヤーが上側に来ますが、エアーの流れに干渉する印象はありません。
ビルドはかなり簡単です。ウィッキングも左右に落としてやれば良いと思います。
このビルドでエアフローは1/4程度開けています。このためもっと低抵抗でも許容しますが、あまりトップキャップに近づけるとアツアツになってしまいそう。
そして、味はかなり美味しい。とりあえずのビルドだったので試行錯誤しようと思ったのですが「もうこれで良いや」と思えるほど。適当なビルドで好みの味が一発で決まってしまいました。
まとめ
正直なことを言うと提供してもい、まずは写真を撮った段階では全く期待していなかったんです。筆者としてはシンプルすぎるルックスがあまり好みでなく、マスプロのレベルが上っている今、「味の良さ」に重きを置く筆者としては、筐体の仕上がりがハイレベルなだけの値段の高い機材だと思ったら大間違い。
美味しいんです。これほんとに。
ドローが軽めなのでMTL向けの記載ではないため、重めのDLから程々の軽さまでの機材ですがかなりハイレベルに美味しい。チャンバートップに空間的余裕があるため、細かく柔らかい間接的な味から、ダイレクト味のウェットミストまで調整幅があり、そのどれもが美味しい。
筆者としては特にマレーシアリキッドを思いっきり吸うのが気に入りました。直接的で濃い味のマレーシアリキッドが、上品で程よく感じられます。
ただ、オリジナリティのあるデッキデザインではなく、近年似たようなエアフローのアトマイザーが多数リリースされており、これらとそこまで味の差があるわけではないので、今までこのタイプのデッキに手を出してこなかった人向けだといえます。
このようなタイプのデッキを持つアトマイザーの中では優れた点が多々あり、付属品の充実。漏れにくい構造。ハイクオリティな仕上がり。なおかつ美味しい。高額な部類の製品ですが、価格に納得できる製品だと感じました。
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