aspire(アスパイア)のVAPEスターターキット、Spryte「スプライト」のレビューです。
aspireから新たなPODデバイスとしてリリースされたのは、タバコのような吸い方を好む人に向けた製品が登場しました。タイトドロー好きを納得させられる製品に仕上がっているのか?
このスターターキットの特徴
- MTLユース専用のPODデバイス
- 高抵抗コイル(1.8Ω / 1.2Ω)には味重視のニクロムワイヤー(Ni-Cr)を採用
それでは詳細をレビューしていきます。
商品提供:ベプログshop
詳細
aspireはもうすでにBreeze2というプリメイドコイル交換型のPODデバイスをラインナップしていますが、そのラインナップを拡充するように、これより小型のデバイスも開発しました。
既に製品をリリースしているラインを拡充するということは、それだけこのカテゴリーのニーズが高いということで、VAPEデバイス各社から次々にPODデバイスがリリースされるのは需要があってのことなんだな、と実感します。
小型であることはもちろん、コンセプトをよりMTLに特化したデバイスに仕上げています。
しかし、相対的にPODデバイスとしては大きな部類。
サイズはH 95×W35×D19mmとなっているのですが、実際に測ってみると横幅が23mm。どこ測ったんだ?この公式スペックは。
と思いaspire公式サイトを見るとH 108×W26×D26mmと書いてありました。説明書が間違っているパターンでしたね、、、
横幅は26mmですが、これは四角の対角線を測ったもので、一辺を図ると23mmです。
手に握ってみると「ちょっと太いな」と感じるサイズ。それもそのはず、23x23mmのサイズだからチューブタイプのメカニカルほどのサイズ感。大きいはずだ。
ポケットサイズとは言い難いサイズ感。
サイズの割にはバッテリー容量は650mlと控えめ。でも、高抵抗コイル(1.2Ωと1.8Ω)だから大事に使えば一日充電なしで使っても持つかも?ぐらいのスペック。
リキッド容量は3.5mlとそれなりの容量を確保していて、一般的に採用されている2ml(TPD規制もあり多くのPODデバイスはこの容量)よりも多くの容量を確保しています。
※TPD対応バージョンとして2.0mlサイズも用意されています。
重量は53.2gと軽量。
出典:aspire公式サイト
aspire製品にしてはカラーバリエーションは多めの5色展開。そういえばBreezeシリーズなんかもカラバリ多いので、それに比べると5色は少ないですが、基本的なカラーは揃っているから特殊な趣向じゃなければある程度のニーズは満たせるかと。
スペック
サイズ | H 108×W26×D26mm |
重量 | 53.2g(実測) |
出力モード | 12W |
リキッド容量 | 3.5ml |
リキッドチャージ | Podボトムフィル |
エアフロー | ボトムエアフロー(調整不可) |
コイル | CE5 BVC Coil(ニクロムワイヤー Ni-Cr) ・1.8Ω(4.2-5.0V) Regular BVC Coil ・1.2Ω(10-12W) BVC Coil for Nicotine Salt |
充電ポート | microUSB(DC5V 1A) |
バッテリー | 650mAh |
保護機能 | ・自動カットオフ(15秒) ・ショートサーキット保護 ・低電圧保護(3.2V以下) ・過充電保護 ・オーバーヒート保護(75度) |
出力モードは不明です。バッテリー電圧直接出力(Bypassモード)なのか、定電圧出力なのか定かではありません。説明書などには「12W」とのみ書かれています。この表記を信じるのであれば定電圧出力なのですが、それもコイルによって出力電圧が変わるのかなどの詳細は書かれていません。
パッケージ・内容品
まずはパッケージを開封していきましょう。箱のデザインはaspire製品統一のイメージ、黒い箱にオレンジのロゴが映えるもので、前面には製品写真、背面には内容品の情報とともにBATCHナンバーやセキュリティーコード(偽造防止対策)が入っています。
大きさは片手だと少し余る程度のコンパクト&スリムなサイズです。
中身はクッション材に保護されて収納されています。
内容品一覧
- Aspire Spryte バッテリー本体
- Aspire Spryteカートリッジ x1
- 1.8Ω(4.2-5.0V) Regular BVC Coil
- 1.2Ω(10-12W) BVC Coil for Nicotine Salt
- 予備パーツ(パッキン類)
- microUSBケーブル
- ユーザーマニュアル(英語)、証明書
本体とカートリッジ、2種類のプリメイドコイル、予備のパッキン類に充電用ケーブル、英語のマニュアルとワランティーカードが入っています。
外観
少し変わったデザイン。
ただの正方形柱型ではなく、上下が斜めにカットされているようなデザインで、自立させると斜め向きになるのが特徴的。つまりデザイン重視。
質感やクオリティはaspire製品らしく卒なくまとまっています。製品としての完成度は高い印象です。
バッテリー部分
本体下部にはaspireのブランドロゴと、Spryteの製品ロゴが白文字でプリントされています。
本体底部分にはCEマーキング(Conformité Européene EUの規格に準拠 ヨーロッパで電波を発信する機器など電気製品を販売する場合に必要なマーク)と、ウィー指令(Waste Electrical and Electronic Equipment Directive EUの規格に準拠 廃棄する場合は、ゴミ箱には捨てずに、回収センターに持ち込むことを推奨したもの)の2つのマーク。
そして、内臓バッテリー充電用のmicroUSB端子を備えています。
ベントホールはなし。
充電中は透明な樹脂製のパフボタンに仕込まれたLEDが点灯します。点灯するカラーでバッテリー電圧を表示するインジケーターとしても機能します。
このパフボタンのLEDライトはパフ時や電源ON/OFF操作時にも点灯します。ボタン全体が透明な樹脂でできているので、全体が光るデザイン。PODと同じ質感で、表面に凹凸があるザラザラとした触感の素材が使われています。
押す部分の一部が凹んでいて、押しやすいように配慮されています。クリック感はしっかりとしており、押し込むと「カチッ」という少し大きめな音とともにはっきりとしたクリック感を感じます。
パフボタンの裏側には、PODのコイルに空気を取り込むためのエアホールが配置されています。
左右それぞれ3つずつ、計6つの穴が空いていますが、どちらも一番上の穴しか繋がっていません。下二つはプラスチックパーツで塞がれています。6つ空いているのはデザイン的な要素なのでしょう。
POD
PODの吸い口部分には樹脂カバーを装備。このカバーもPODと同じカラーのもの。質感は本体やPOD部分と違ってツルツルとした表面にはザラ感のないものが使われています。
はめ込み式で、爪などのロックはないタイプ。
スポッとかぶせるだけなので、弱い力でも簡単に取れてしまうので紛失には特に注意が必要です。
外したカバーは、吸っている時には、microUSB端子のある底部分にはめることができます。
紛失防止に役立つ仕様です。このための底部分のデザインです。
マウスピース部分は角の取れた長方形をしています。
POD型デバイスは、その簡易性から加え心地を犠牲にしているものも多くありますが、細くなっている部分が長めに突起しているので、咥えた時に唇が本体に当たらなくて済むので咥え心地は悪くありません。
PODを外すときは、PODをしっかりとつまんで上に引き抜きます。
固めにホールドされているので、パフボタン近くの凹みに指をかけて力強く引き抜くと外すことができます。
本体バッテリー側には、PODをホールドするための左右の金属パーツと、コイルに電気を供給するための3つの端子が。接続部分はプラスチックで覆われています。
POD側面の凹みを、バッテリー本体の金属の突起でホールドする構造です。
付属するPODは1つのみ。PODの素材については説明書、公式サイトともに記載なし。
大まかに分解すると3ピースに分解できます。
・Spryteバッテリー本体 ・専用POD ・保護キャップ
PODは樹脂素材(素材不明)でできていて、基本的には非分解式。分解して洗浄するなどが簡単にできないので、リキッドの味を頻繁に変えたいという使い方やニーズには向きません。
また、味を変えたい時に中を洗うことができないので、味や香りの強いリキッドを入れると、後々まで味や匂いが残ってしまう可能性があります。
リキッドをチャージする時は、PODをバッテリー本体から取り外し、POD底にあるオレンジ色のシリコンプラグを外してPOD内にリキッドを注ぎます。
リキッドチャージホール(注ぐための穴)は小さめなので、ニードルボトルやユニコーンボトルが便利です。
逆に注ぎ口が大きめのボトル(スポイトボトル)などでは注げない場合がありますので注意。
ドロー調整可能です。コイル取り付け部分には、コイルに空気を供給するためのエアホールを設けていますが、そこにはエアホールの大きさを調整するためのエアフローコントロールリング(AFC)を装備しています。
このAFCを回して穴の大きさを変えることで、吸い込みの抵抗感を変更。全開から全閉まで無段階でドローを調整可能です。
コイル
そして、このエアフロー調整部分は、コイルマウントパーツにもなっています。
コイルの取り付け方は以下の通り。
- コイルを金属パーツ(コイルマウントパーツ)に取り付ける
- マウントパーツごとPODに取り付ける
この方式のメリットは手が汚れにくいということです。
PODデバイスのカートリッジで一番多いのが、コイル内蔵式(コイルを単体で交換できないPODに内蔵されたタイプ)ですが、その方式の一番のメリットは、コイル交換による手がリキッドでベトベトになる煩わしさがない、ということですが、デメリットとしてはPOD毎交換する必要があるのでコストが高くなることです。
それに比べてコイル交換式はコイル単体で交換できるのでコスト的に有利。
しかし、手が汚れたり、コイル交換が面倒などのデメリットもありますが、このSpryteの方式だと手の汚れを極力防ぐことができます。
何故ならコイル交換時に、POD内に指を入れなくて良いから。
交換時はマウントパーツごとコイルを取ることができます。そのため、外したコイルはティッシュなどで包んで廃棄すれば、直接指でリキッドまみれのコイルをつかむ必要がありません。
もちろん、一般的なクリアロなどの方式でもティッシュで包めば一緒なのですが、マウントパーツとコイルが一緒に外れるというのいうのが個人的にはポイントだと感じています。
付属のコイルは2種類です
- 1.8Ω(4.2-5.0V) Regular BVC Coil
- 1.2Ω(10-12W) BVC Coil for Nicotine Salt
名前の通り、通常のリキッドを使用するのに適しているのは高抵抗1.8Ωのレギュラーコイルです。1.2Ωはニコチンソルトなど高濃度のニコチンなどのキックを楽しむために設定されています。
名前が”BVC”コイルとなっていますが、Nautilusシリーズなどに採用されているaspire BVCコイルとの互換性はありません。BVCコイルは使えませんので、予備を購入するときは”CE5 BVC”コイルを購入します。
コイルはバーチカルでセットされているスタンダードなもの。ニクロムワイヤー(Ni-Cr)が使われているようです。ニクロム線はVAPE用ワイヤーではもっともポピュラーなカンタルワイヤーに比べて立ち上がり(熱の入り)が早いのが特徴で、味に定評のあるPODデバイスにも採用されているワイヤーです。
このSpryteにもニクロムが使われていることで味にも期待してしまいますね。
使い方
使い方です。動作は電源のON/OFFとパフ操作のみのシンプルさ。簡単に使えるのがPODデバイスの魅力です。
- 電源ON/OFF … パフボタンを5回素早く押す(5クリック)
- Vaping… PODを咥えて吸い込む
パフボタン部分のLEDインジケーターは、バッテリー残量(正確にはバッテリー電圧)を示しています。赤いランプになったらもうすぐバッテリー切れの合図です。
感想
Breeze2も初代に比べればMTL寄りにも調整できる印象でしたが、このSpryteはさらにタイトなドローに向けたデバイスです。
と言いますか、コイル抵抗値から言っても、軽めのドローには対応していない「特化したデバイス」になります。
ドローは全開だと少しだけ軽めのDLにまで対応していますが、コイルスペック的においしく吸えるのはドローを絞ったときなので、AFCの調整幅はタイトドロー方向に自由度が高いセッティングです。
ただし、Breezeシリーズはリキッド漏れにも配慮したトップエアフロー構造でしたが、このSpryteはボトムエアフローなので構造的に漏れを完全に防ぐことはできないので、よりリキッドが漏れずらいデバイスをセレクトするならば他のチョイスが吉です。しかし、使用している限り漏れやすいデバイスだとは感じません。むしろボトム部分(バッテリー部分)に結露すら発生しないので漏れ耐性は非常に高いと感じます。
味はなかなかです。むしろPODデバイスとしてはおいしい部類です。
しかに、この筐体の大きさ。かさばるのだからもっとおいしくても良いでしょ!?という味覚補正が入ってしまいます。
正直僕にとってはPODデバイスとしてはデカすぎます。
人それぞれ求めるものは全く違うと思いますが、僕がPODデバイスに求めるものはただ一つ。
- ポケットサイズで超コンパクト。なのにそれなりにVAPEとして味を楽しめる
その上で、コイル再構築(ビルド)できたり、デザインカッコ良かったり、国内での入手性が良かったりっていうのはおまけです。もちろんそれらを総合して購入するものを選定するのですが、でかい時点で僕の選択肢からは外れてしまうんですよ。
aspire製品からは、「スペックのために大きさを犠牲にしない」考え方を強く感じます。この製品にしても、大きさを重視するならば簡略化できる部分があると思います。
しかし、POD型には珍しいドロー調整機構などを搭載する、フルスペック感はしっかりと確保していて、昔のApple製品を思い出します。フルスペックすぎてラップトップジャンルなのに「持ち運べないよ!」という重さでしたね。
これより小型で、ある意味割り切ったデバイスは沢山あります。
数打って勝負なデバイスもたくさんあるのですが、aspireは間を埋めていくようなラインナップの拡充は少なく、決め打ちで完成度の高い製品を落とし込んでいます。
aspireは万人に向けた製品を構築している印象があります。つまり失敗が少ない。このSpryteも、MTLから重めのDLまでを狙ったPOD型デバイス、その制限の中で多くの人のニーズを満たせるような製品づくりを感じました。
まとめ
Spryteには優れた点もたくさんあって、ボディーのサイズが少々大きくても
- MTLに特化したタイトドローを実現できるデバイス
- リキッド容量がそれなりに入る POD型としては大きな3.5mlカートリッジ
- コイル交換式によるコストメリット。コイル交換も簡単に設計されている。
などの優れた点もありますから、これらを考慮して求めるものと近いと感じたユーザーは検討してみるのが良いと思います。
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